短歌

短歌「世界が文字にならないうちに」

また朝だコインを投げたらうら/おもて 夜は深紅のカーテンに散る 換気する音がうるさい めちゃくちゃに海の氷は掻き混ぜられて 東京は3の腹から産まれ出た 012は足掻けども0 背表紙を撫でれば崖を越える日が孵化する いつかの自分が飛んだ 美しき君の…

短歌「あかあかと砕ける」

愛嬌をさわるこわさは盲目に辿る煙の螺旋階段 褐色に唐辛子舞う水面のどこにいるのか鈴振る者は 連れてゆく列車の夜は夢を切る 明日の天気を教えないよう 腐食するセーブデータの餞にスーツを羽織る父を見送る ザリガニはエビと同じであったろう 傷は報われ…

「あまい静寂」

『あまい静寂』 「脈動はどこまで続いていくのだろう?」君の和訳はいいね鬱だね ラムネ瓶髑髏の窪に挿し込んで未来を知った暑い夏の日 海なのだろうか汽笛の昇る 散らかったヒレアザミの綿遥かに泳ぐ 階段を踏み外してしまったね 甘いしじまが聞こえている…

短杯2014『友』に参加しました。

短杯という短歌のチーム戦で得票を争うという企画があったので、僕も急遽周りの方に声をかけて、「憂性能」というチーム名を冠して参加することにしました。〆切1日前に呼びかけたにも関わらず、快く引き受けてくださった皆さん、本当にありがとうございま…

「洗濯機的パラロギズム」

{[命にて]=/私の光/は誰か/へと/届いていますか/=[〈〈不安〉〉が鳴りて]} 愛したよ瞳の名札も剥がしたよぜんぶあげるからこっちに来てよ プールから上がったみたいに燦々と注ぐ言葉の花束がある 1と2を交互に数える父と母、倦怠を攫う風を真似して…

「僕たちは天使をゆく」

『僕たちは天使をゆく』 いつからか甘い記憶に鍵をされ物憂うだけの葦にて立てり 何度でも繰り返される表情の機微まで君の季節のようで アパートの階段を踏み地が開ける 不安に心が舞い降りてゆく 遠くへと街の気持ちは急ぐからまずiPhoneを二階から捨てる …

「四季」

『四季』「春START」綻ぶの子は滅ぶのか春に問う 風のいらへはすべて「善し」なり 存在をジャグリングするクラス替え 光の粒子は机に騒ぐ 氷解を求め流離う自己愛が分娩される始業式の日 川べりの卑猥な本が楽しげに新生活を語りはじめる 朝起きて手首に名無…

「錠剤の夢(ver.2)」

色彩の鮮やか過ぎる睡眠に終わりはやがてさよならを見る 鍵盤を壊す光の旋律は躁鬱狂いめいた翌朝 ぱたぱたと羽根から注いだアガペーで朝に朝重ねリセットリプレイ 葬らる虫の命の残響の宿る服着て窓をひらきつ 氷河期の遅延を知らせる鐘の音が朝の列車で配…

「錠剤の夢」

目の泳ぐ人たちのつどう昼下がり笑って笑って日を食い潰せ 雨音に光らせた刃物残響し 街 風 ぼくらのインターネット 僕のたなとすはすべてを壊すのだ虫は潰れるし約束も破る 鮮やかに他人の弱さを責めたので空と会話がよくできました 愛の足りない人たちが嘆…

「さよならグッドモーニング」

g 00 d M oRn I N g 斜陽シテ目がまわり超高速度で落下し定点 オーディオの音を抜き取り味見して噎せた入道雲の終わりに 路の傍に落ちてる花を噛み千切り匂いを嗅いだ探索犬B 朝靄の雑踏の隙間駆け抜ける閃光一筋フラッシュバック 蜘蛛の巣が地球をさらいに…

連歌1

連歌しました。夏っぽい。[23:56:25] あゆみ: むらさきの町に天使が飛び降りる [0:01:12] 葛梅さとり: 紫陽花色に光る人間 [0:03:35] 四流色夜空: 異星人だって礼儀はあるのにね [0:06:15] あゆみ: UFO投げたらあとはよろしく! [0:08:45] 葛梅さとり: クラ…

大阪文学フリマ追記「稀風社の粉」

4月14日に行なわれた大阪文学フリマですが、僕も参加させていただいた短歌冊子「稀風社の粉」が委託・通販販売しているそうなので遅ればせながら、ご報告させていただきます。委託しているのは東京都中野区にある「タコシェ」様で、頒価は500+税とのことで…

「救済論的滑り台」

「髪切って、侵略するの、仕方なく。」仕方ないことだ、春なんだから。 足りないと繰り返すだけの機械でも浄土を待ってるノイズ文学 「席に着け、これから描いてもらうのはどちらからでも消費できる絵」 オフィスでは郵便の人もドランカー「宛先ばっかり書い…

「千色の風」

何度待つ目覚まし時計妖精になろう新年スタートします 迷惑なテレビの電波に耳塞ぎ弔った猫はにゃあと鳴きます 「魔法だよ」木立が揺れたの指した君「魔法?」「うん、きっと」幸せしかない 光りあれなんてイエスの失言でネギは長くて人にぶつかる 春風や魚…

「愛の街」

朝一番早く終わってなんて言うなよ鳩が死ぬここは愛の街 気のつけばアンテナ片手に立ち尽くす無視してく電波イデアール空 北風が街から街へと移るけど私は私が嫌いなだけです 過ちを罪とみなすな知りもせず折れた傘骨気がつけば夏 訊かれても知らない布団の…

「わたしのものです。」

大好きと嘯くあなたは腕を切り溶け込むふたりは死にゆく夕暮れ 角なくし岸に打ち上げ笑ってももう一度川にかなしみ浮かべて たそがれに頬をなぞった蝉の部屋気にしない君とじこめた死を 何度目の怯えと赦し刻みつけ君から散らばる栄養素星 部屋の壁顔に見え…